アロマテラピーを勉強する多くの人は、『香り』に対する思いがあるのと同時に、アロマテラピーの『効能』に興味があって勉強するのだと思います。
アロマオイルの香りが「心」や「身体」に優しく浸透し、心身を癒していくことを想像して始められることでしょう。
ですが、多くの人が途中で『挫折』して、結局は「自分で楽しむ」だけのものになってしまっているのではないでしょうか。
多くの人はアロマオイルの『効能』を『効能書き』を頼りにしています。
『効能書き』には様々な効果、効能が明確な言葉で綴られていたりしますが、実はそれが「迷い」を生むこともあります。
例えば、薬やサプリを例にとって見てみましょう。
胃薬は飲めば効かせたい胃に即届きますので、問題はないでしょう。
では、腸に届かせたい乳酸菌などは、胃を通り抜けなければなりませんので、胃酸に対しての「備え」をしていることでしょう。
身体のどの部分に届かせたいかで、その過程を想定して対処しなければなりません。
そうしなければ、乳酸菌などは胃酸で全滅して腸まで届かないでしょう。
それは身体だけでなく心も全く同じです。
何層にも複雑に折り重なった心の「思いの層」を通過しないことには、届かせたい「思い」にアロマの効能は届きません。
そして、これらの「心の層」は「言葉」だけでは表現しきれないもので、もし仮に「言葉」で表現するとしたら、それだけで膨大な枝分かれの「家系図」のようなものが出来上がてしまうでしょう。
そして、そんなものを利用してアロマをブレンドしたならば、「良い香り」には程遠いものとなることでしょう。
だからアロマには「想像力」と「創造力」が必要となります。
スピリットアロマ
アロマには様々な効能がありますが、それらを「イメージ」として捉えるのが「スピリットアロマ」です。
例えば「ローズマリー」には元気、気力、活力を回復させる効能がありますが、これらが「どのように働いてどのように効能を発揮するか」ということが「効能書き」ではわかりません。
では、どんな機序を経て効くのか?
それは科学的な解明はなされておりません。
ですが、ローズマリーが元気や気力、活力を回復させるその「力」を「別のもの」に例えたのが「スピリットアロマ」で、ローズマリーは『太陽神アポロン』を象徴させるものとなります。
『え?、だから何。』
つまりは『右脳』でやらなきゃいけないわけです。
効能書きを頼りにしているうちは「左脳」ばかりで考えています。
しかし、左脳は人の「感覚」を直接的に理解しません。
それが出来るのは右脳です。
だから、アロマを「効かせよう」と思うなら、「右脳」で思考しなければなりません。
そのためにローズマリーを太陽神アポロンに置き換えて、「太陽神が癒す」ということを想像してゆくわけです。
例えば、落ち込んでいる人を元気づけるにも、様々な言葉のアプローチがあるはずです。
落ち込み具合や落ち込んでいる理由などによって、アプローチの仕方は変わるはずです。
それはアロマでも同じこと。
塞ぎこんで殻に閉じこもってしまっている人に、いくらローズマリーを嗅がせても心に届きません。
雨戸を締め切ったところに太陽の光が入らないのと同じことです。
では、最初にしなければならないのは「窓を開ける」ことでしょう。
そうしなければ元気づけるための何も届かないですから。
自ら雨戸を閉じて暗がりに引きこもってしまった人には、まずは「雨戸が閉まっている」ことに気付いてもらう必要があります。
それを気付かせるものが「イランイラン」の香り。
イランイランのスピリットは「ラーダとクリシュナ」というヒンドゥーの男女の神
私は「シヴァとシャクティ」に置き換えています。
男女和合の象徴ですが、和合するには「出会わなければ」なりません。
そんな「出会う」ことを誘う香りがイランイランの香り。
つまりは「閉じた窓の向こうを意識する」ための最初の香りとなるわけです。
この段階では「興味を持った」という程度であり、その後に続くアプローチが必要となります。
それは、「窓の外は暖かい」ということを知らせる香り。
それはオレンジなどの柑橘系の香りが「太陽の暖かさ」を想像させます。
オレンジのスピリットは「不死鳥」
つまりは「再起」を促すわけです。
その香りで冷え切った心が動き出して「窓を開けてみようか」となってきます。
でもまだ「怖い」という思いが残っているかもしれません。
そこで今度は「マジョラム」という「慰める」香りで、スピリットは「アフロディーテ」という愛の女神が登場します。
オレンジの香りに重なるようにアフロディーテの優しさが、傷んだ心を修復していきます。
そうしてようやく「窓」を開けはなつ勇気が出て、重い雨戸を開くと「眩しい太陽」がそこに現れる。
そうして太陽の光と熱にあたりながら、元気と活力を回復してゆく。
その過程で「不死鳥」「アフロディーテ」が「アポロン」と重なって、人はようやく『復活』してゆく。
これでお分かりのように、「太陽光が眩しくて雨戸を閉めた」人に対して「太陽光」をもろに浴びせれば余計に引きこもってしまうでしょう。
ですから、アロマは「効能書き」以上に『人の心』に寄り添う思いやりがなければ「本当に届く香り」は生み出せません。
多くの人がブレンドに失敗し、効能に失敗する原因は「効能書き」だけでやろうとするからです。
ただ単に「悲しみを癒す」という言葉の中には、様々な種類の「悲しみ」があり、状況があり、奥深さがあり、もつれ方があります。
それを「悲しみを癒す効果があります」ということばだけを頼りに使っても、効果を発揮するのは数例あっても、発揮しないものもたくさんあります。
だから、それを補うためにブレンドを行うわけです。
そして、そのためには「人の心や思い」に寄り添って、思いの層の複雑さを「知る」必要があります。
そのためには「左脳」ではなく「右脳」を使い、自分の「感情」や「感覚」と向き合って「同じ位置」に降りて行って「寄り添う」わけです。
そこまで降りて行った時、初めてその「通り道」が見えるでしょう。
その通り道にある「関門」を通過するために何が必要か?
そして、辿り着いたら何が必要か?
それらを知った上で調合する。
それがアロマブレンドが成し得る【癒しの力】であります。
0コメント